【彦根の風景】廃業になった銭湯とアート
お風呂好きな方、中でも銭湯マニアの方いらっしゃると思うのですが、彦根にチェーン店を除いて湖東地域で唯一の銭湯だった「山の湯」さんがありました。
1879年(明治12年)創業 ~ 2019年8月末に惜しくも廃業となりました。
歴史ある建物は現在も残っており、今後の活用策が注目されています。
今回行われるBIWAKOビエンナーレでは、こちらを会場に使用されます。
中に入ると左が女風呂、右が男風呂になっており、入り口を入ると中央に番台があります。
マッサージチェアや体重計、冷えた牛乳瓶が入ってあっただろうクーラーボックス。
テーブルには写真が幾つか置いてありました。
私がこちらに来たときには既に閉まっていたので、中に入るのは初めてでした。
中は意外ときれいだったのと、脱衣所が広くて驚きました。
脱衣場から浴場に入ると、少し熱い湯、常温、かけ湯用、薬湯の浴槽があり、特に薬湯は彦根城の元御殿医に教えられた成分の配合が続いてきたといいます。”秘伝のたれ”のような湯だったと聞きました。この浴槽、薬湯で茶色く染まったようです。しかも壁には鯉が泳いでいたそうな!なんと粋な演出なんでしょう……
↑元の色の浴槽
このボート、作品になるものなのですが 商店街にある使われていない呉服屋さんからここまで持ってきました。(重かったです)
そちらの呉服屋さんも普段はシャッターが閉まっているので気付かなかったのですが、立派な呉服屋さんの名残がありました。
作業中、通り過ぎる人たちが声をかけてくれたり、地元の方がこの辺の昔話をしてくれたりといろいろな方とお話ししました。山の湯を使っていると言うと嬉しそうなお顔をせれる方も。また、銭湯の扉が開いてるのを不思議そうに覗いていかれる方もいらっしゃいました。表の商店街のお店の方にも、声を掛けていただいたりして嬉しかったです。
作家さんも「実際に見るまではこんないい場所で展示できるなんて思わなかったし、空間が良すぎて作品を考え直した」と仰っていました。この場所の歴史を聞いたうえで取り組んでいらしたので、私が言うのもなんですがこの場所を使っていただけて光栄だなと思いました。
ここが開いているのもこの期間中だけかもしれません。使われていない眠っている場所を、こういった形で使うのも面白い試みだと感じます。
地元の方でも、地元だからこそなかなか行かない場所ってあると思います。時代によって行けなくなってしまった場所も。この機会に、ご近所にちょっと足を運んでみるのはいかがでしょうか。